ビクトリア女王のCoat of Arms(紋章) [2015/2/27 歴史資料 記述者:店主]

一昨年スミソニアン博物館に展示された明治9年頃の椎野正兵衛商店製作「ビクトリア女王のCoat of Arms」と全く同じものが、イギリスより2015年2月当店に里帰りいたしました。
このほどイギリス在住のPeter Marston氏から譲り受けた物です。
1877年、イギリスがインド帝国を建国、ビクトリア女王が皇帝として即位された時の紋章で、絹金糸や日本刺繍によってサテン生地に立体的な刺繍がされています。また刺繍の配色はスミソニアンのものと全く同色でロイヤルブルーの美しい刺繍の枠取りも見られます。この紋章は額装されていました。中央にデザインされている4種類の紋章はビクトリア女王のご両親の家系を表しています。
当時世界の最強国のイギリスの皇帝の紋章をS.SHOBEYが製作依頼を受けて作られたものです。
其の品質の高さから椎野正兵衛商店お抱えの松義刺繍工房の作品と思われます。
スミソニアン博物館の物はインド帝国にあった紋章でアメリカ人のインド歴史物収集家が収蔵後寄贈したもので当店に収蔵されたものはイギリスで使用されていたものと思われます。


※Coat of Arms(紋章)とは

個人や家系、公的機関、軍隊
などの組織や団体などを識別し、特定する意匠または図案のことです。
紋章と呼べるものには、まったく同じ図案が2つ以上あってはならない、代々継承された実績を持つ世襲的なものである、などの定義があり、その要件を満たすものはヨーロッパと日本にしか存在しないと言われています。それ以外は、「しるし」として「エンブレム」などと呼ばれて区別されています。

西洋の紋章には盾を中心にデザインされたものが多く、厳密にはCoat of Arms(紋章)とは盾のことだけを指すもので、Coat of Armsの語に武器を意味するArmsという言葉が含まれていることからも、元々戦闘用の盾であったことが伺えます。また、その盾の文様がSurcoat(サーコート)と呼ばれる陣羽織などにも描かれたことから、Coat(コート)という言葉が含まれるようになったようです。